株式会社 千乃

【鍼灸EBM最前線:鍼のエビデンスの現状「鍼がポジティブな効果を出す可能性が高い疾患」(3)「筋骨格疾患】

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【鍼灸EBM最前線:鍼のエビデンスの現状「鍼がポジティブな効果を出す可能性が高い疾患」(3)「筋骨格疾患】

【鍼灸EBM最前線:鍼のエビデンスの現状「鍼がポジティブな効果を出す可能性が高い疾患」(3)「筋骨格疾患】

2025/03/10

 2025年2月26日「鍼におけるエビデンスの現状:2017年から2022年の鍼のシステマティックレビューとメタアナリシスのレビュー」

82疾患が「鍼がポジティブな効果を出す可能性が高い疾患」で「筋骨格疾患」です。

以下、引用。

「線維筋痛症」

「上腕骨外側上顆炎」

「筋筋膜痛」

「ヒザ人工関節置換術後の疼痛」

「骨壊死」

「関節リウマチ」

「座骨神経痛」

「トリガーポイント」

以上、引用終わり。

 「線維筋痛症」は、1905年に神経科医ウィリアム・ガワース(William Gowers:1845–1915)が「結合組織炎」と名付けて、リウマチ学会が扱っていました。

 この「結合組織炎」が1930年代にリウマチ専門医ケルグレンなどによって研究され、1940年代にジャネット・トラベルがトリガーポイントを発見し、

1983年に「筋・筋膜性疼痛症候群」を提唱します。

1981年にモハメド・ユヌス(Mohammed Yunus)が「結合組織炎」の一部を「線維筋痛症」としました。

 

1983年「筋・筋膜性疼痛症候群

 ラテン語の「線維(fiber)」とギリシャ語の筋肉である「マイオ」、ギリシャ語の痛み「アルゴス」を合わせて「フィブロマアルジア線維筋痛症(Fibromyalgia)」と名付けました。

 1990年にアメリカ・リウマチ学会が「線維筋痛症」の最初の診断基準をつくり、

 2003年に日本の厚生労働省が研究班をつくりました。

「線維筋痛症」については、2021年6月にハーバード大学医学部のアムノン・バーガー先生が発表した以下の論文が秀逸です。

2021年6月22日 ハーバード大学医学部

『線維筋痛症における鍼の効果」

 「上腕骨外側上顆炎」は、もともと1883年に医師モリスが「ローン・テニス・エルボウ」と表現しました。

 イギリスの医師ジョージ・パーシバル・ミル(George Percival Mills:1883-1952)が1928年に開発した「ミル・テスト(Mill’s Test)」や、アメリカの医師ルイス・コゼン(Lewis N. Cozen:1911-2001)が開発した「コゼン・テスト(Cozen’s Test)」が行われます(コゼン・テストの感度は91パーセント)。

 

 『上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019』の定義では、「上腕骨外側上顆(lateral epicondyle)」の圧痛が必ずあります。

 「テニス肘=上腕骨外側上顆炎」と患者さんはおっしゃっていても、上腕骨外側上顆に圧痛は無く、手三里(LI10)あたりに圧痛がある場合が多いです。

 これは「難治性テニス肘」であり、「橈骨神経管症候群」であることが多いです。 

 1972年にロールズとマンダレイが「難治性テニス肘」「橈骨神経管症候群」の概念を発表します。「回外筋症候群」や、「後骨間神経症候群」とも呼ばれます。

1972年「橈骨神経管症候群:難治性テニス肘と神経絞扼」

2019年4月カナダ・ブリティッシュコロンビア州の症例報告

「橈骨神経管症候群のドライニードリングの効果:症例報告」

2020年

「外側上顆炎に対する鍼治療の有効性:ランダム化比較試験のシステマティックレビューとメタアナリシス」

「ヒザ人工関節置換術後の疼痛(Pain after knee arthroplasty)」については、オピオイド減量のため、多くの研究が発表されています。

2017年8月16日『アメリカ医師会雑誌(JAMA)』

「膝関節置換手術後の鎮痛オピオイド消費における非薬物介入」

2022年2月 ステファニー・チェン(ニューヨーク特殊手術病院)

『メディカル・アキュパンクチャー』

「膝関節人工関節全置換術後のオピオイド使用の鎮痛レジメンの一部としての術中の鍼:前向きコホート試験」

2021年9月

「全膝関節置換術後の術後疼痛に対する鍼治療の効果:システマティック文献レビューとメタアナリシス」

「骨壊死」は、「大腿骨頭壊死」のようです。

2021年

「大腿骨頭壊死の初期および中期に対する鍼灸治療の有効性:ランダム化比較試験のシステマティックレビューとメタアナリシス」

2022年

「関節リウマチ治療における鍼治療の臨床的有効性:ランダム化臨床試験のメタアナリシス」

「関節リウマチ」と鍼の関係は複雑です。日本における鍼の鍼灸の適応疾患に「リウマチ」がありますが、西洋医学の保険が使えなくなります。また、ステロイドなどの免疫抑制剤を使用しながら、皮膚を破る鍼や灸の施術は、主治医の先生との関係から難しくなる場合もあります。また、1990年代は関節リウマチの患者さんに鍼灸施術をしていましたが、西洋医学の生物学的製剤などの薬物治療が飛躍的に進展している背景もあると思います。

「座骨神経痛」に対して、鍼灸は一定の効果はあると個人的には感じています。ただ、「偽座骨神経痛」「サイアティカ・ミミック座骨神経痛モドキ」が混じっている場合があり、厳密な研究が必要だと個人的には思います。

2023年2月9日

「坐骨神経痛に対する鍼治療の有効性と安全性:ランダム化比較試験のシステマティックレビューとメタアナリシス」

やはり「トリガーポイント(Trigger point)」のメカニズム研究が必要な印象です。

 

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