冷え:万病のもと、防ぐ生活環境、ストレス影響免疫力低下も
暖かくなったり、寒さが戻ったり--。季節の変わり目のこの時期、体調を崩していませんか。とくに厄介なのが体の「冷え」。冷暖房で体温調整がうまくとれないうえ、ストレスも多い。冷えは免疫力を弱め、万病のもとと専門医は指摘する。布団に入っても足が冷たくて眠れない。悩みがつきない冷えを防ぐにはどうしたらいいのか。【小川節子】
50年前の日本人の平均体温は36.9度だったが、現在は36度前後まで低くなったと言われている。東京女子医大付属青山自然医療研究所クリニック(東京・青山)所長の川嶋朗さんは指摘する。
「日本人の平熱は、この50年で確実に0.5度以上は低くなっている。6度以下の低体温の人も少なくない」
背景には現代文明があるという。エアコンの普及で体温調節機能が衰えたうえ、冷蔵庫で冷やされたものを年中飲む。体はいやでも冷える。
ストレス社会の影響も大きい。ストレスで交感神経が緊張し心臓の動きが速くなり、血圧が上がり体温も高くなる。過度になると血管が収縮したまま戻りにくくなり、血の巡りが悪くなり冷えにつながるという。体全体の3分の1の熱をつかさどる筋肉の量が運動不足で減っていることも要因の一つだ。
血行改善を図る「血めぐり研究会」(花王などの5社協賛)が20~40歳代の男女650人に「冷え」についてのネット調査をしたところ、7割が冷えを自覚していた。冷えを感じている人は「肩こり」「疲れ・だるさ」「足のむくみ」「風邪のひきやすさ」「頭痛」「便秘・下痢」について、感じていない人よりも15ポイント以上強く症状を訴えていた。
「冷え」は体全体の働きも鈍くする。新陳代謝に重要な酵素が活発に動く温度は37~40度で、1度下がるだけで働きが半減するものもある。免疫力も1度下がることで3割減少すると言われる。
肝臓、腎臓のトラブル、糖尿病、高脂血症などにつながり、脳内の伝達物質もスムーズに運ばれなくなり、うつ病や自律神経失調症などにも関係する。「冷えはあらゆる病気の入り口です。いかに体を温めるかが現代人にとって大切」と川嶋さんは話す。
冷えは、朝、起きがけに布団の中で脇の下に手を入れ、これよりも冷えている個所があるかどうか--で大体分かる。チェックリスト=表=で一つでもあてはまるものがあるなら注意が必要だ。