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「リウマチ・膠原病の鍼灸治療」

「リウマチ・膠原病の鍼灸治療」

―シェーグレン症候群患者の症状改善効果を中心に―小俣 浩

シェーグレン症候群(Sjogren’s syndrome:以下SjS)は、外分泌腺の慢性炎症と自己免疫疾患・結合組織疾患の合併症と報告され、関節リウマチ等の膠原病と合併することが多い疾患である。本邦における推定患者数は約10万人で特に40歳、50歳代以降の中高年女性に多く発症する。臨床症状は、リンパ球浸潤により導管や腺房組織が破壊され眼球・口腔の乾燥症状(dry eye・dry mouth)を訴えるだけでなく、気道粘膜や消化管・膣・汗腺等の他の外分泌腺にも影響し患者のQOL は著しく障害される。

 

II.乾燥症状に対する鍼治療の実際
近年、低周波鍼通電療法(Acupuncture Electrical Treatment:AET)は、その刺激強度や刺激頻度により有効性の高い治療方法が検討されている。我々は、SjS患者群の乾燥症状に対する顔面部AETの効果を観察し、さらにAETによる累積効果についても併せて検討した。鍼治療の方法は、顔面部の翳風穴(手の少陽三焦経)と下関穴(足の陽明胃経)を結び、左右側それぞれに周波数1Hz と高頻度刺激である30HzAETも10分間行った。その結果、特に顔面部30Hz群で唾液・涙液分泌量の増加が認められた。そこで、30HzAET10分間・10回の累積効果を観察したところ、ドライマウス・スコアの初回と10回目施行後の比較で得点が低下し、日常生活における口腔乾燥症状の改善が認められた。

 

III.諸外国における研究報告
本研究領域は、1992年以来SwedenのKarolinska研究所、T.Lundeberg教授グループが圧倒的な研究成果を有し、その後米国・英国・オーストリア等での研究が盛んである。最近では、癌放射線療法後の口腔乾燥に対する鍼治療効果が多く報告されている。また、Dry eye研究で御著名な慶応義塾大学眼科坪田教授と共同研究でNepp.Jが涙液分泌機能の鍼治療効果を報告している。

 

IV.今後の展望
今回演者は、SjS患者のDry eye とDry mouthに焦点を併せた鍼治療研究結果
を報告するが、今後は頭頚部腫瘍(癌)の放射線療法後の口腔乾燥や、VDT症候群患者の眼球乾燥等の鍼治療効果も検討し、鍼治療の適応疾患の拡大を図り、多くの国民の健康保持増進に寄与したいと思う次第である。

 

埼玉医科大学東洋医学科 医学博士 小俣浩

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