お灸のはなし
2022/11/07
お灸のはなし
お灸を知ろう!
よく聴く、お灸には3千年以上の長い歴史があります。
浮世絵や、古典文学にもお灸に関する記述があり、江戸時代には「旅の際に持参すべきものの一つ」とされたのがお灸です。
その「火を使う」ことや「火傷になる」というイメージから、一時期廃れていましたが、最近、お灸の研究も進み、痕や熱さが緩和されよく使われるようになりました。
近年、様々な不調への改善効果と手軽なセルフケアの一つとして、再び注目されてきています。
お灸と聞くと、肩こりや腰痛、関節痛というイメージがしますが、お灸はそれだけでなく、アレルギー疾患や膠原病、婦人科疾患や内科的病の冷え性などに用いられることが多く、主に慢性疾患に対して選択されます。一口に「お灸」と言っても、現在では様々な種類があります。
お灸の作用として
温熱効果
お灸は温めるイメージの強いですが、「温める」だけではなく様々な作用があります。皮膚上への熱刺激が、皮下の筋肉や血管、リンパの循環に影響を与えます。
例えば、温熱刺激により、副腎皮質ホルモンが分泌され、白血球が活性化されたり、炎症や痛みを抑えたりする効果があります。また、ダメージを受けた細胞を修復するヒートショックプロテインというタンパクが分泌され、免疫細胞の働きを活性化します。
経穴刺激作用
東洋医学のツボ(経穴)を刺激することでツボの作用も期待できるため、肩こり・腰痛をはじめ、月経不順などの不定愁訴にも働きかけます。ツボを刺激することによって、全身を巡る“気”がコントロールされ、弱った内臓や組織を元気にする作用や人間もともと持っている自然治癒力を高めたり、バランスを崩し安い自律神経調整のコントロールをしたりしてくれます。
嗅覚を刺激してアロマテラピー作用
お灸の原料はもぐさです。艾とは、この“もぐさ”はヨモギの葉の裏にある白い線毛を乾燥し精製したものです。艾に含まれる芳香成分にはリラックス効果のほかに、炎症や痛みを和らげる効果もあります。
脳に優しいリラックス効果もお灸のアロマ的効果があります。
免疫力強化作用
お灸をすることによって「免疫力があります」、例えば、異物を攻撃する白血球や免疫を獲得する際に働く細胞の活性化、加えて白血球の含まれた血液を全身にくまなく届ける血液循環の改善作用により、免疫力が強化されるといえます。また、リラックスすることにより、副交感神経が優位になり免疫力が強化されます。
皮膚を少し焦がすことによって、タンパク質が火傷してヒストトキシンという物質が作り出されます。
このヒストトキシンが免疫系に働きかけ、抵抗をつけるという研究結果も証明されています。
お灸の使用法
お灸には治療院でしかできないお灸もあれば、セルフケアで真価が発揮されるタイプもあり、お灸は癒しから治療まで幅広い範囲で使用されています。
直接灸
もぐさを米粒の半分ぐらいに捻り、ツボに据えるお灸です。当院では頭のてっぺんや魚の目などに直接据えます。
有名なのは、”三陰交の逆子のお灸”です。
温灸
”もぐさん”と言い、箱の中にもぐさ様の炭のような物を入れて、臀部や下腹部をじんわり温めます。
これは冷えや特に婦人科疾患や不妊症などの治療によく用いられます。
竹製の筒に塩を詰めた上でお灸を燃焼させます。 じんわりと熱が通り、お腹の冷えや、自律神経の振れ幅が大きい時に使います。
火を使わないお灸
首や腰など、自分では温めにくい場所には「火を使わないお灸」をお勧めします。また、美容上火傷や痕がまったく付きません。
セルフケアとしてのお灸
鍼と灸の大きな違いの一つは、お灸は「ご自身でもおこなえる」ということです。
基本となるお灸を据えるところですが、抑えて「そこそこ」圧痛があるところがお灸を据える場所として最適なツボの場所です。
是非、ご家庭のセルフケアとして健康の予防としてのお灸をしてみてください。