【鍼灸EBM最前線:鍼のエビデンスの現状「鍼がポジティブな効果を出す可能性が高い疾患」(12)「尿路感染症】
2025年2月26日「鍼におけるエビデンスの現状:2017年から2022年の鍼のシステマティックレビューとメタアナリシスのレビュー」
82疾患が「鍼がポジティブな効果を出す可能性が高い疾患」です。
以下、引用。
【泌尿器疾患】
Urological diseases
「尿路感染症(Urinary tract infectionn:ユリナリー・トラクト・インフェクション)」
Urinary tract infection
以上、引用終わり。
「尿路感染症(UTIs)」について、日本では「日本感染症学会(JAID:Japanese Association for Infectious Diseases)」「日本化学療法学会(JSC:Japanese Society of Chemotherapy)」から、『JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015ー尿路感染症/男性性器感染症』が出版され、2019年の『女性下部尿路症状診療ガイドライン(第2版)』の40ページに「再発性細菌性膀胱炎にはどのように対処すべきか?」という記述はありますが、鍼灸に関する記述は存在しません。
冬になると毎年、膀胱炎になるという方が、最初、病院で抗生物質をもらい、尿が透明になり、無菌状態でも頻尿や排尿痛が残っている場合、八髎の反応点・圧痛点に八分灸の多壮灸で劇的に症状が消失した経験があります。これは、西洋医学の医院・病院を必ず受診していただき、それから愁訴にアプローチするという補完医療アプローチになります。わたしは、この経験から、八髎の圧痛点・反応点について、反応を正確にとれるなら、鍼を深刺する必要はないという個人的見解をもっています。
オーストリア・グラーツ医科大学のトーマス・オッツ(Thomas Ots MD, PhD)先生が2024年に画期的なランダム化比較試験(RCT)論文を発表されています。
鍼治療+クランベリーとクランベリー単独の予防を比較すると、鍼治療とクランベリーのサプリメントを摂取した女性の 66% が尿路感染症に罹患していないのに対し、クランベリーのサプリメントのみを摂取した女性では45%が尿路感染症に罹患していないことが分かり、統計的に有意でした。クランベリーはコクラン・システマティックレビューでも尿路感染症の予防効果を認められており、画期的研究だと思います。
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2024年7月25日トーマス・オッツ『国際泌尿器科雑誌』
「再発性の『尿路感染症(UTIs)』をセグメンタル脊髄分節の鍼は予防する:ランダム化比較試験」
※「【結論】セグメンタル脊髄分節の鍼は、長期の追跡期間にわたって再発性尿路感染症の女性に効果的な治療選択肢となり、抗生物質の使用を減らす可能性があります。」
2017年のカナダ産婦人科学会による再発性尿路感染症に関するガイドラインは、抗生物質による予防に反応しない、または耐性がない再発性感染症の女性における代替予防戦略として鍼治療を提案しています。
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2017年10月カナダ産婦人科学会(SOGC)ガイドライン
※「【推奨】10.鍼は、抗生物質に耐性の女性の再発性尿路感染症の代替手段とみなされるかもしれない。」
2020年「女性の再発性尿路感染症の鍼:システマティックレビューとメタアナリシス」
※「【結論】鍼は、再発性尿路感染症(rUTI:recurrent Urinary Tract Infection) の治療と予防に効果があるようですが、現在のエビデンスには限界があります。」
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排尿するときに痛みや渋り感があるのは、中医学の「淋証(りんしょう)」のカテゴリーに入ります。
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2024年5月「現代中医学治療における尿路感染症の研究の発展」
浅谈现代中西医治疗尿路感染的研究进展
王丹钖, 符 强(黑龙江中医药大学,黑龙江 哈尔滨)
临床医学进展 Vol. 14 No. 5 (May 2024)