鍼治療が慢性疼痛患者の睡眠を改善 - アメリカ
「鍼治療は、慢性疼痛のあるがんサバイバーの睡眠を改善することが可能」という記事が、アメリカのがん患者・生存者・その介護者を対象にした雑誌「CURE Media Group」のオンラインサイトに掲載されています。
日本人が一生のうちにがんと診断される確率は「がん情報サービス」2019年データによると、男性65.5%、女性51.2%とのことです。
「がんは2人に1人」という表現は、テレビや各種メディア等でよく目にします。
治療の進歩もあり日本では、がんサバイバーの生存率は高くなってきていて、相対5年(2010~2014年)の生存率は約69%です。(全国がんセンター協議会の生存率共同調査2023年5月集計)
「がんサバイバー」とは、がんの治癒をした人やがんの診断を受けた時から死を迎えるまでの全ての段階にある人のことを言います。
サバイバーは、「生存者」というより、「がんの経験者」ということです。
また、「がんサバイバーシップ」は、診断時から命の終わりまで、がんとともに自分らしく生きることを意味しています。
QOL生活の質の向上を大事にしているということですね。
しかし生存率が上がっても、がんサバイバーが抱えている問題はさまざまなものがあるようです。
症状で見ると、<痛み・食欲不振・だるさ(つかれ)・眠気・吐き気・口の渇き・睡眠障害・悲しい気持ち・ストレス・嘔吐・息切れ・しびれやピリピリ痛む感じ・もの忘れ>など様々です。
今回の記事では、睡眠障害は「がんサバイバーの60%に共通する症状である」とされ、次のように述べています。
・最近の研究では、睡眠障害と慢性疼痛を併発するがんサバイバーの睡眠の質を、鍼治療が改善することが示されている
・鍼治療は疼痛管理の他の非薬理学的方法を先導する可能性がある
鍼治療を受けた参加者の40%以上が、睡眠の質の改善を認めたとのことです。
多くのアメリカ人が、睡眠薬を飲んでいるそうです。
鍼治療は、睡眠の質を改善する可能性があります。
鍼治療を受けている治療の間に、眠ってしまうこともよくあることです。
これは痛みが緩和され筋緊張が和らいで気血の巡りも良くなるからと考えられます。
睡眠の問題は薬を使って改善する方法が一般的ですが、薬を使わなくても改善される治療法があるのは大変良いことです。
今後もますます鍼灸治療の活躍の場が広がることが示唆されます。