【頭痛研究の最前線:後頭部痛と大後頭神経と頭半棘筋と下頭斜筋】
2014年10月31日『国際神経外科』
「大後頭神経の筋内経路:手術介入と後頭神経痛に潜在的影響を与える新たな発見」
以下、引用。
「大後頭神経(GON: Greater Occipital Nerve)の筋走行を調べた研究はほとんどないため、本研究を実施しました。」
「2004年に国際頭痛学会の国際頭痛分類(HIS:Headache Classification Subcommittee)は、後頭神経痛を環軸関節や上部椎間関節からの関連痛、そして頸筋とその骨付着部の圧痛性トリガーポイントと鑑別することが重要であると指摘しました。」
「1991年、Bovimらは20体の死体を調べ、大後頭神経が45%の症例で僧帽筋、90%で頭半棘筋、7.5%で下頭斜筋を貫通していることを発見した。彼らは、大後頭神経が僧帽筋の付着部の下で線維性圧迫を受けやすいことを発見した。」
「ボグダク(Bogduk)による死体研究では対照的な結果が示された。著者らは、大後頭神経が僧帽筋を貫通しておらず、僧帽筋と胸鎖乳突筋の間の腱膜スリングの上の開口部から出現していることを発見した。」
「Mosserらは、大後頭神経が症例の100%で頭半棘筋を貫通しており、僧帽筋を介した筋肉の関与はほとんどまたは全くないことを発見し、僧帽筋が圧迫の原因となる可能性は低く、頭半棘筋を通る筋肉を介した経路が、刺激や圧迫を引き起こす最も可能性の高い原因であると推論しました」
「Güvençerらは死体研究を発表し、大後頭神経は頭半棘筋を貫通する箇所、僧帽筋腱膜を貫通する箇所、そして下頭斜筋の下を通過する箇所など、特定の箇所で圧迫される可能性があると結論付けました。他の著者らも同様の結論を出している」
「位置学的に、Mosserらは『外後頭隆起』の下3cm、外側1.5cmを中心とする直径1.5cmの領域があると結論付けており、これは大後頭神経(GON: Greater Occipital Nerve)が下方の頭半棘筋から出現する位置に確実に対応している。」
「Natsisらは『外後頭隆起』の下2~2.5cm、外側約1.5cmの部位に注射することを推奨している。したがって、この領域はMosserらが推奨した領域と重なる。」
以上、引用終わり。
『大後頭神経』の走行の知識は、後頭部痛の臨床に必要だと思われます。
下頭斜筋を巻き付けるように走行し、頭半棘筋から、僧帽筋の外に出ますが、多様性があります。
下記の論文は、大後頭神経の深さを含めて調査しており、非常に参考になりました。
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2018年1月17日
「大後頭神経と第3後頭神経の定位的トポグラフィーとその臨床的意義」
日本では近年、粕谷大智先生が提唱する「後頭部痛に関する鍼灸アプローチ」について、以下のように簡単にまとめました。
1. 後頭下筋群と大後頭神経の関係
大後頭神経(C2後枝)は、下頭斜筋・頭半棘筋・僧帽筋を貫通することが多く、特に頭半棘筋では約90%の確率で絞扼される可能性があります。
この神経が圧迫されることで「後頭神経痛」と呼ばれる頭痛が発生します。
2. 粕谷先生の臨床セミナーでの実技指導
頭痛・頚部痛の治療として
後頭下筋群(大・小後頭直筋、下頭斜筋)に対する触診・刺鍼
中斜角筋へのアプローチ
を具体的に指南。
深層筋の緊張(硬結や圧痛)をしっかり評価して、複数ポイントに鍼を打つことで、神経圧迫を解放する実践的な手法が紹介されました。
理論の流れ(図式)
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姿勢不良・首肩の過緊張
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頭半棘筋・下頭斜筋の過緊張形成
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大後頭神経の絞扼(圧迫)
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後頭~頭頂部にかけた痛み・電撃様の神経痛
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粕谷式鍼灸での深層筋トリガーポイントを刺鍼し、緊張と神経圧迫を緩和
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症状の軽減・再発予防
臨床的意義
押して電撃様に響くポイント(圧痛点)を正確に評価し、深層筋に狙いを絞った鍼が有効とされます。
筋緊張・神経圧迫の直接的対処により、疼痛の緩和だけでなく、再発防止や姿勢改善への導きも意識されています。
これらのことも頭痛に対する鍼治療で改善のされるエビデンスにだと言えるでしょう。
これから益々の研究を楽しみにしています。


