【鍼灸研究最前線:中国の最新の経絡研究の論文】
2025年5月 景向紅
『鍼刺研究』
「鍼灸における主要な科学的疑問のレビューと展望」
中国中医科学院针灸研究所
以下、引用。
「鍼灸の核心的理論的基盤である経絡の科学的含意に関する研究は、鍼灸の発展にとって極めて重要です。」
「1950年代には、中谷義雄 (Dr. Kazuo Nakatani)博士による『良導絡』の研究と、
ドクター田中(Dr. Tanaka's)による
『内臓ー体壁反射("visceral surface reflexes")』
の研究が、日本の経絡理論に大きな影響を与えました。」
以上、引用終わり。
1950年代の中国の雑誌には、正確に紹介されています。
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1959年 中谷義雄
「良導絡の臨床治療応用」
『内臓ー体壁反射("visceral surface reflexes")』なので、京都大学生理学教室の石川日出鶴丸(いしかわ・ひでつるまる:1848-1947)教授ですね。または「ミスター731部隊」「良導絡の剽窃・ミドリ十字の皮電計」の石川太刀雄(いしかわ・たちお:1908-1973)です。父の石川日出鶴丸先生は日本鍼灸の恩人です。
以下、引用。
「1956年、中国は経絡研究を国家重点開発計画に掲げ、学者たちは経絡は複数の組織の相乗効果の結果であると考えました。」
以上、引用終わり。
1950年には医日本の師の長浜善夫(ながはま・よしお)先生が丸山昌郎(まるやま・まさお)先生と経絡現象を研究した『経絡の研究』で医学博士の学位を取得しました。これは1949年の春に長浜善夫先生が千葉医科大学眼科で、視神経萎縮で子どもの頃に落雷を受けたという患者に刺鍼したところ、全身に響きが放散するという経験をしました。その患者の各原穴に刺鍼して、響きを記録したところ、古典の経絡そっくりだったというものです。
長浜善夫先生の『経絡の研究』は1955年に中国で承淡安先生のグループに翻訳され、鍼灸ブームを起こします。
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1955年「経絡の研究」
丸山昌朗
1956年 長浜善夫・丸山昌朗
「経絡研究」
以下、引用。
「1963年、北朝鮮の金鳳漢(きむ・ぼんはん)博士は「ボンハン小体」と「ボンハン管」を発見したと主張しましたが、その後の研究で彼の発見は裏付けられませんでした。」
以上、引用終わり。
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北朝鮮の金鳳漢(キム・ボンハン)教授が1961年に「経絡経穴の実態としてボンハン小体を発見した」と発表し、日本の大阪医科大学の藤原知教授が追試に成功して、世界的なブームとなりました。ところが、藤原知教授以外は誰も追試に成功せず、政争で金鳳漢教授が処刑されたため、忘れられた学説となりました。ところがもともと物理学者で韓国軍で人体の電磁波や生体電気現象を研究していた宋教授が2000年代に藤原知教授を訪れ、ボンハン小体を解剖で剖出するコツを伝授され、2009年から「プリモ・ヴァスキュラー・システム(Primo Vascular System)」のリバイバルが始まりました。
今回の中国での最新論文でも、日本の鍼灸を確立した医師の間中先生方の実績を評価した内容の記述がありました。
日本人の鍼灸師として大変誇りに思うことができ、日本の鍼灸業界への貢献された方々に敬意を表したいと思います。


