【鍼灸EBM最前線:鍼のエビデンスの現状「鍼がポジティブな効果を出す可能性が高い疾患」(21)術後イレウス(Postoperative ileus)】
2025年2月26日「鍼におけるエビデンスの現状:2017年から2022年の鍼のシステマティックレビューとメタアナリシスのレビュー」
82疾患が「鍼がポジティブな効果を出す可能性が高い疾患」です。
以下、引用。
【消化器学(ガストロエンテロロジー)】
「術後イレウス」
以上、引用終わり。
「術後イレウス(Postoperative ileus:ポストオペレイティブ・イレウス)」は、外科手術後に腸管の機能が長期間停止する状態と定義されています。通常は72時間以内に回復します。
アメリカでは、ツムラが術後イレウス治療薬として、漢方の「大建中湯(だいけんちゅうとう)」をFDAに承認申請しており、二重盲検ランダム化比較試験(RCT)の結果を解析中です。
2014年頃にドイツのグライフスヴァルド医科大学麻酔科の教授であるタラス・ウシシェンコ(1967-)先生は、手術後に疼痛や悪心・嘔吐などの外科手術の副作用を和らげ膀胱や大腸の機能回復させる鍼のことを「ペリオペレイティブ・アキュパンクチャー周術期・手術前後の鍼)」と提唱しました。それ以来、西洋医学系の「メディカル・アキュパンクチャー」の主流という印象があります。西洋医学を補完するアプローチです。
以下の2022年の北京の研究は画期的です!!!
104名の大腸がんの手術を受けた患者さんを対象にして、
足三里への電気鍼を36名、
天枢への電気鍼を36名、
標準治療(鍼治療なし)を36名で比較しました。
足三里への電気鍼のみ、回復を示し、天枢への電気鍼は回復を示しませんでした。
2022年
「腹腔鏡下大腸手術後の『術後イレウス(postoperative ileus)』に対する鍼治療の効果:前向きランダム化比較試験」
※「多数の研究で、腹部の経穴を刺激すると、交感神経の流出性線維活動が亢進して胃、十二指腸、小腸、近位結腸の運動が抑制されること、また、四肢の経穴を刺激すると、対照的に迷走神経の流出性線維活動が興奮して前述の腸管運動が促進されることが示されている。遠位結腸の運動については、四肢と腹部の両方の経穴を刺激すると増強効果があった。そのため、近位結腸と遠位結腸の間で天枢(ST25)が逆の作用を及ぼすことで、胃腸運動への効果が薄められる可能性がある。一方、この身体部位の特異性は全身性炎症モデルによっても裏付けられ、敗血症マウスにおいて足三の電気鍼EAは迷走神経–副腎抗炎症軸を駆動できるが、天枢では駆動できないことが示された」
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これは、まさに日本の佐藤昭夫先生の自律神経研究がベースになっています!
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「体性‐自律神経反射の生理学―物理療法、鍼灸、手技療法の理論」
佐藤 昭夫/佐藤 優子/シュミット,R.F.
シュプリンガー・ジャパン(2007/10発売)
2022年には、『アメリカ医師会雑誌(JAMA)』にランダム化比較試験が発表されています。
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2022年
「大腸癌の腹腔鏡手術後の術後イレウス治療における電気鍼療法と偽電気鍼療法の比較:多施設ランダム化臨床試験」
※「実験的研究で、私たちは 術後イレウス(Postoperative ileus)における完全な電気鍼EA抗炎症シグナル伝達経路を発見しました。電気鍼EAは迷走神経を興奮させ、今度はマクロファージ内の α7 ニコチン性アセチルコリン受容体を介したコリン作動性抗炎症経路を活性化して、誘発される炎症を抑制します。」
2024年
「腹部手術後の胃腸機能回復に対する鍼治療の効果:臨床試験からのナラティブレビュー」


