【科学の最前線:科学とアメリカ法制度における「筋筋膜性疼痛症候群(MPS)」の位置づけ】
2025年3月23日アメリカ退役軍人省に認可された法律事務所『ヒル&ポントン:ヴェテラン退役軍人障害弁護』
「退役軍人省における筋筋膜性疼痛症候群マイオフェーシャル・ペイン・シンドローム(MPS):退役軍人省の評価と軍務の関連性」
以下、引用。
「アメリカ退役軍人省(VA)補償を求める多くの退役軍人は、筋筋膜性疼痛症候群とアメリカ退役軍人省(VA)評価システムの複雑さを乗り越えて、当然受け取るべき給付を確保しなければなりません。 」
「アメリカ退役軍人省(VA)には筋筋膜性疼痛症候群の特定の診断コードはありません。代わりに、通常は線維筋痛症(診断コード 5025) の基準に基づいて評価し、重症度に応じて 0% から 40% の障害評価を行います。」
「(アメリカ退役軍人省では)筋筋膜性疼痛症候群は、以下と関連づけれれています」
「マイオサイティス筋炎」
「慢性疼痛症候群」
以上、引用終わり。
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アメリカの退役軍人たちは慢性疼痛とオピオイド禍に苦しみ、その苦しみを解決しようとして、「アメリカ退役軍人省(VA)」「アメリカ国防総省(DoD)」は、西洋社会で最初に「鍼やヨガなどの統合医療」を積極的に導入しました。
しかし、アメリカ退役軍人省(VA)の診断コードには「筋筋膜性疼痛症候群(MPS)」は存在しません。代わりに「線維筋痛症(フィブロマイアルジア:FM)」の基準で評価します。
もともと1905年に神経科医ウィリアム・ガワース(William Gowers:1845–1915)が提唱した「結合組織炎」が1930年代にリウマチ専門医ケルグレンなどによって研究され、1940年代にジャネット・トラベルがトリガーポイントを発見し、1983年に「筋筋膜性疼痛症候群」を提唱します。
1981年にモハメド・ユヌスが「結合組織炎」の一部を「線維筋痛症」としました。
つまり、
1905年「結合組織炎)」が、1981年「線維筋痛症(FM)」と1983年「筋筋膜性疼痛症候群(MPS)」、に分かれた歴史があります。
2013年のWHOの国際疾病分類ICD-10では、
「筋肉痛(筋炎マイオサイティスを除く)」
という Code M79.1として、「筋筋膜性疼痛症候群」がありました。
ところが、
2022年のWHOの国際疾病分類ICD-11では、「筋筋膜性疼痛症候群)」のコードは存在しません。
日本のガイドラインでは、「筋筋膜性疼痛症候群)」に関する記述は、ほとんど存在しないです。『慢性疼痛診療ガイドライン』には、トリガーポイント注射の記述でチラっと(笑)ありますが、否定的です。
アメリカはオピオイド禍に苦しんでいますが、オピオイドはナロキソンで鎮痛効果が拮抗されます。鍼の鎮痛機序として、電気鍼の鎮痛のメカニズムとして鎮痛作用の一部はナロキソンで拮抗されるため、エンドルフィンなどのオピオイドによる脳中枢システムの鎮痛が関与していると考えられています。
鍼灸の鎮痛メカニズムは、
エンドルフィンなど脳中枢の「中枢神経システム」と、
脊髄レベルの「セグメンタル・エフェクト」と、
局所の「ローカル・エフェクト」があり、
もし、局所の阿是穴・トリガーポイント・反応点に刺さないなら、鍼の鎮痛はオキシコンチン=オピオイドよりも弱く、しかも作用機序は同じになってしまいます。もし、中枢の脳でのエンドルフィンだけで考えるなら、アメリカの退役軍人省(VA)がオピオイド鎮痛剤の代わりに鍼を使うのは無意味になります。鍼の慢性疼痛への効果の秘密は、脳だけでなく、局所にあると個人的には感じます。
現在の「疼痛マネージメント」の問題点は、まさに「筋筋膜性疼痛症候群(MPS)」の存在を認めていないこと、局所の触診をしていないことだと個人的には感じます。


