【鍼灸EBM最前線:鍼のエビデンスの現状「鍼がポジティブな効果を出す可能性が高い疾患」(16)「脳卒中後のディサースリア発語運動障害】
2025年2月26日「鍼におけるエビデンスの現状:2017年から2022年の鍼のシステマティックレビューとメタアナリシスのレビュー」
82疾患が「鍼がポジティブな効果を出す可能性が高い疾患」です。
以下、引用。
【神経疾患】
「脳卒中後のディサースリア発語運動障害(ポスト・ストローク・ディサースリア)」
以上、引用終わり。
「ディサースリア(dysarthria)」は日本では「構音障害」と、かつて言われてきましたが、現在は日本語の呼称・翻訳語として医学での学術的議論があります。
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2000年
「かつてわれわれはDysarthria(ディサースリア)を『構音障害』と呼んでいた, といえる新たなる時代を迎えよう」
西尾 正輝
『音声言語医学』2000 年 41 巻 1 号 p. 73
※「国内でもdysarthriaは 構音障害 として呼ばれてきたが,かつて筆者はこうした定義上の歴史的変遷を踏まえ,構音障害という訳語をあてることはすでに時代的に適切ではないことを指摘した」
2023年
「Dysarthria(ディサースリア)の翻訳名称について」
西澤 典子 et al.
『音声言語医学』2023 年 64 巻 1 号 p. 24-32
※「この病態群の翻訳名称として,保険診療での診療名や国家試験出題基準においては『運動障害性構音障害』が使用されている.しかしこの翻訳名称について,motor speech disordersの和訳である『運動性構音障害』との定義上の区別が適切に普及しておらず,用法に混乱が生じている,あるいは発語にかかわる協調運動全体に『構音』を用いるのは適切でない」
※「わが国における翻訳名称に関する議論の歴史を総攬し,検討した結果,Dysarthria(ディサースリア)の翻訳名称として『発語運動障害』を提案する.」
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上記論文は、「構音障害」を「発語運動障害」と変えて翻訳提案される歴史的経緯を詳述しており、非常に参考になります。
「Dysarthria(ディサースリア)発語運動障害」には、
「弛緩性ディサースリア」、「痙性ディサースリア」、「失調性ディサースリア」=小脳の障害など、「運動機能低下性ディサースリア」=パーキンソン病など、
「運動過多性ディサースリア」=ハンチントン病など、などの分類があります。
「脳卒中後のディサースリア発語運動障害」の鍼について、以下のシステマティックレビュー論文があります。
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2022年
「脳卒中後ディサースリア発語運動障害(Post-stroke dysarthria)に対する、異なる種類の鍼治療と言語リハビリテーション訓練を組み合わせた治療:システマティックレビューとメタアナリシス」
※「脳卒中後ディサースリア患者の言語機能回復には、鍼治療、舌鍼治療、うなじ鍼治療を組み合わせた治療が、体幹鍼よりも効果的である可能性がある。また、鍼治療と言語訓練を組み合わせた治療は、単なる言語訓練よりも回復を促進する。」
英語の「Dysarthria(ディサースリア)」は中国語では「构音障碍」です。2024年に総説的な鍼の論文が発表されています。ここでも舌鍼や項鍼について詳述されています。
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2024年
「脳卒中後ディサースリア(构音障碍)の鍼治療の研究の進展」
针刺治疗脑卒中后构音障碍的研究进展
李 悦
2025年1月には「脳卒中後のディサースリア発語運動障害(Post-stroke dysarthria)」の鍼治療に関するデータマイニングによるツボの分析の論文が発表されています。
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2025年1月
「データマイニング技術に基づく脳卒中後ディサースリア(构音障碍)の鍼治療における経穴選択ルールの探究」
※「高頻度で使われているツボは、金津、玉液、風池、廉泉である」
「脳卒中後のディサースリア発語運動障害(Post-stroke dysarthria)」と、
「脳卒中後のアフェイジア失語症(Post-stroke aphasia)」は異なる病態です(※重なることもあります)。
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2023年6月20日
「クラスター分析に基づく脳卒中後運動性失語症(aphasia:アフェイジア)の鍼治療における経穴選択規則の研究」
※「最も使用される頻度が高かった5つのツボは、廉泉、金津、玉液、百会、通里でした」
上記の中国の論文は2022年から2025年に発表されたものです。
2025年の中国は、「ディープ・シーク(DeepSeek)」などのAIを社会に実装するのがブームになっており、データベースとAIをからめた論文が激増しています。今後さらに加速する雰囲気があります。
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2025年4月10日 高口康太『PIVOT』
【トランプ関税vs.中国 習近平の怒りの反撃】DeepSeekが国民的スターに
※45分50秒から「高口康太:中国でディープシーク・バブルが起こっています。愛国英雄扱いです。ありとあらゆるところにディープ・シークを導入し、中国の病院や全ての自動車にもディープ・シークを導入しています。中国ではchatGPTとかGeminiなどアメリカのAIにはアクセスできなかったのですが、ディープ・シークで一気に雰囲気が変わりました。オープンソースなので、社会実装がすごい勢いで進んでいます。」


