【鍼灸EBM最前線:鍼のエビデンスの現状「鍼がポジティブな効果を出す可能性が高い疾患」(16)「脳卒中後の失語症】
2025年2月26日「鍼におけるエビデンスの現状:2017年から2022年の鍼のシステマティックレビューとメタアナリシスのレビュー」
82疾患が「鍼がポジティブな効果を出す可能性が高い疾患」です。
以下、引用。
【神経疾患】
「脳卒中後の失語症」
以上、引用終わり。
フランスの医師ピエール・ポール・ブローカが1860年頃に「ブローカ野」と「ブローカ失語」を報告しました。
1870年代に、ドイツのカール・ウェルニッケが「ウェルニッケ野」と「ウェルニッケ失語」を報告します。
日本脳卒中学会の『脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕』では、「脳卒中後の失語症」に関する鍼灸の記述はなく、「失語症に対して、言語聴覚訓練を行うことが勧められる(推奨度A エビデンスレベル高)」とされ、「経頭蓋直流電気刺激を行うことを考慮しても良い」と記述されています。
わたし自身は「脳卒中後の失語症(ポスト・ストローク・アフェイジア)」の臨床経験はないです。だからこそ、いま調べています。
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2014年 マイケル・グリーンウッド
「あなたの臨床では、鍼治療で脳卒中後失語症をどのように治療しますか?」
※「標準的鍼治療では、金泉(きんしん:EX-HN12)と玉液(ぎょくえき:EX-HN13)から出血させます」
※「このプロトコルの潜在的な問題点の一つは、口腔内に鍼を刺すため、患者が鍼治療そのものに抵抗感を抱く可能性があることです。しかし、特に静脈がそれほど充血していない場合は、別の選択肢があるかもしれません。簡単な方法の一つは、舌根の正中線上への電気鍼刺激です(図1)。私自身は一度しか試していませんが、この治療法は患者にとって受け入れやすいものでした。」
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ロシアでも、この舌根部の電気刺激デバイスが用いられていました。検討する価値はあるかも知れません。
2024年には『アメリカ医師会雑誌(JAMA)』にランダム化比較試験(RCT)が発表されています。
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2024年
「脳卒中後運動失語症患者に対する鍼治療と偽鍼治療の効果:ランダム化比較試験」
※「【結論】このランダム化臨床試験では、6 週間の真鍼を受けた脳卒中後運動失語症患者は、偽鍼を受けた患者と比較して、治療開始 6 週目から発症後 6ヶ月の追跡調査終了時まで、言語機能、生活の質、神経障害において統計的に有意な改善を示しました。」
※「神経画像研究では、鍼治療を受けた脳卒中後失語症患者で皮質 - 皮質下機能ネットワーク内の接続性が強化され、言語関連領域の脳の活性化が激化したことが明らかになり、 鍼治療後の脳機能再編成のメリットが示されていま」
2019年のシステマティックレビューでは有望です。
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2019年4月18日 オーストリアの『ウィーン臨床雑誌』(Wiener klinische Wochenschrift)
「鍼治療は脳卒中後失語症の機能的コミュニケーションの改善に効果的である:ランダム化比較試験とメタアナリシス」
2025年4月9日に、最新の画像研究の論文が発表されています。
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2025年4月9日
「脳卒中後失語症に対する革新的な頭皮鍼療法処方:神経画像に基づく検証研究」
※「最も有望なターゲットとして左側中側頭回が特定されました。」
※「これまで頭皮鍼には様々な鍼治療法を用いる流派が複数存在し、例えば焦順発式や国際標準頭皮鍼(International Standard Scalp Acupuncture)などが代表的です。
しかし、脳卒中後遺症の失語症PSA患者における有効性のメカニズムは、どの流派においても科学的に検証されていません。標準化された鍼治療の位置決め方法がないため、どの流派がPSA治療においてより効果的であるかは依然として不明です。」
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頭皮鍼には多くの流派があり、刺激ポイントが異なります。


