【鍼灸研究最前線:慢性骨盤痛の「経穴の過敏化」】
2025年2月18日 エジプト・カイロ大学(Cairo University)
「骨盤内炎症性疾患の女性における『過敏化経穴(Sensitized Acupoints)』へのレーザー生体刺激が慢性骨盤痛と生活の質に与える影響:ランダム化比較試験」
「骨盤内炎症疾患(PID)」による、「慢性骨盤痛」の女性を2グループに分け、一方には「過敏化経穴」へのレーザー鍼(LLLT)の照射とイブプロフェンの投与を行い、もう一方はイブプロフェンの投与のみで比較しました。
結果として、レーザー鍼グループのVASやQОLが改善し、「圧痛閾値(PPT)」が上昇しました。「圧痛閾値(PPT)の上昇」とは、痛みを感じにくくなることです。
以下、引用。
「『経穴の過敏化』という概念は、これらの発見の理論的根拠となっている。」
「これらの感作された経穴を刺激すると、痛みの感覚とは異なる明確な神経反応が誘発され、情動性および感覚性の炎症性疼痛と神経障害性疼痛の両方が軽減される。これらの感作された経穴を刺激すると、痛みの感覚とは異なる明確な神経反応が誘発され、情動性および感覚性の炎症性疼痛と神経障害性疼痛の両方が軽減される。」
「トリガーポイントと『経穴の過敏化』を刺激すると、経穴でのツウィッチ・レスポンスや感覚伝達などの特定の反応を引き起こすことができます(参考文献31)」
以上、引用終わり。
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この参考文献は、「熱敏灸(ねつびんきゅう) 」の陳日新(ちんにっしん)先生の論文です。
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2011年 陳日新
「岐伯の帰還:腧穴の『過敏化状態』を論ずる」
『中国针灸』2011, v.31;No.269(02) 134-138
『岐伯(ぎはく)の帰還』映画『ロード・オブ・ザ・リング』を思い出させる、凄いスケールの大きなタイトルの論文ですが「腧穴(しゅけつ)」を「反応点(はんのうてん)」として捉えるのは、実は日本伝統鍼灸の考え方とソックリなのです。「反応点」としての「熱敏穴」は、骨度分寸では正確に取穴できず、病態によって位置も状態も変わるという日本伝統鍼灸家にとっては、当たり前の臨床的事実を論じています。これは中医薬大学の現代中医学鍼灸では、画期的なことなのです・・・。中医薬大学を卒業した先生にうかがうと、現代の中医薬大学の鍼灸では、「腧穴(しゅけつ)」を触診せずに、いきなり刺すそうです(当然、中国にも触診する流派も存在します)。
これは宋代の王惟一(おういいつ:987-1067)著、『銅人鍼灸腧穴図経(どうじんしゅけつしんきゅうずけい)』のツボは固定化して動かないというマニュアル化の弊害がいきついたものだと思います。
熱敏灸の熱敏穴は、病者にのみ現れる「反応点」なので、『黄帝内経』の『岐伯(ぎはく)』の考えていた「腧穴(しゅけつ)」であるという意味です。
「経穴の過敏化」は臨床家にとっては、大きな問題だと思います。「慢性骨盤痛(CPP)」の「過敏化したツボ」への「レーザー鍼(LLLT)」の研究が、エジプト・カイロ大学から発表されるというのは、2025年という時代を感じました。


