株式会社 千乃

【科学の最前線:棒灸の熱は、結合組織(脂肪)の表層にのみ届き、筋肉まで届かない】

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【科学の最前線:棒灸の熱は、結合組織(脂肪)の表層にのみ届き、筋肉まで届かない】

【科学の最前線:棒灸の熱は、結合組織(脂肪)の表層にのみ届き、筋肉まで届かない】

熱の伝達(Heat transfer)のメカニズムとして、

伝導(conduction)、

対流(convection)、

放射=輻射(radiation)、

がありますが、「お灸の熱」は超難問です。

 

従来は2種類の金属の間の「ゼーベック効果」で生じる「熱電効果」により電気抵抗を計測し、さらにその電気抵抗を温度に換算するという「熱電対」で計測していました。

「熱電対」より相対的に優れている灸の温度を測る機械「モクサス)」も高精度な「サーミスタ」ですが、原理は似たような「熱電効果」であり、電気抵抗の代わりに生じた「ジュール熱」を計測し、ジュール熱を温度上昇に換算します。「モクサス」で計測する場所の素材は「アルミニウム」であり、生体の皮膚(表皮・真皮)と結合組織、筋肉の構造と異なります。

 2020年の台湾の研究では、皮膚から灸の温熱が3センチメートル入ると論じていましたが、わたしは「灸の刺激が皮膚から3cm(30㎜)の深さで入るのは、臨床の実感からあり得ない」と思いました。

 

 例えば、肩こりで肩井穴や肩外兪穴に肩こり感の阿是穴がある場合、鍼の深さは20㎜あたりから危険深度に入ります。寸3の鍼は40㎜ですから、寸3の鍼の半分が20㎜です。肩こりで肩井や肩外兪の阿是穴に八分灸したり棒灸で温めると表層の皮膚面の陥凹は変化し、主観的な「肩こり感」はとれます。しかし、皮膚面の陥凹の奥にある深部の筋硬結はとれないです。寸3の鍼を10~20㎜くらい直刺で刺入して筋硬結を刺して10分くらい置鍼すると、棒灸ではとれなかった筋硬結がやわらかくなります。もし、灸の温熱刺激が皮膚から3cm(30㎜)も深く入っているなら、この「肩こり」の筋硬結は八分灸や棒灸でも柔らかくなっていると思います。わたしは、八分灸では消えない深部の筋硬結をやわらかくするために深谷伊三郎先生の「竹筒灸」で深部の硬結を押圧しています。初心者の方には、『霊枢』では「陥凹していたら、すなわち、これに施灸する(陥下則是灸)」ですから、まず、八分灸で「皮膚の変化」を実感させます。そのために、フェザータッチで皮膚面に指をすべらせて凹みを感じさせ、施灸した後で皮膚がわずかに「盛り上がる感覚」をつかませます。そのために触診では「絶対に押さない」ことを指導し、八分灸で消火する際も「そっと皮膚にフタをする感覚」であり、押しつぶさないです。八分灸の消火の際に指で皮膚を押すと「微妙な皮膚の変化」がわからなくなります。次に竹筒灸で押して「深部の筋硬結の変化」を実感させます。そのような「八分灸による皮膚の変化」と「竹筒灸による深部の変化」を実感させる施灸を続けたので、「灸の刺激が皮膚から30㎜入る」というのは、臨床的実感とまったく異なると感じました。もし、灸の刺激が30㎜も入るなら、わたしは40㎜の長さの寸3の鍼は使わなくなっているし、竹筒灸も使わないと思います。

以下、引用。

 

「灸熱刺激温度が 46°C から 48°C の間である場合、患者の不快感と灸熱による損傷が最小限に抑えられます。 灸刺激領域の直径が 2.0 cm〜3.0 cm の場合、優れた治療効果が得られます(※棒灸の場合)。皮膚刺激は約 45°C、筋肉刺激は約 42.5°C で、鎮痛効果が得られます 。棒灸の熱浸透を確実にするためには、筋肉の温度が 42.5°C に達するようにする必要があります。」

「提案するシミュレーション モデルの生物学的組織は、第 1 層の皮膚組織、第 2 層の脂肪、第 3 層の筋肉の 3 層として定義される。3組織層の厚さは、それぞれ 2.2 mm、12.4 mm、10.4 mm に設定された。生物学的組織の材料パラメータは、表1に示すように、COMSOL の材料ライブラリから抽出された。」

以上、引用終わり。

 この論文著者のシミュレーションの結果は文章ではなく、グラフィックのみで表現されていますが、明らかに灸の熱は、表皮・真皮の下の結合組織の脂肪の表層までは届いていますが、筋層(筋肉)には届いていないです。これは私の灸臨床の実感と非常に近い結果でした。

 おそらく、灸の熱の伝達は赤外線の放射(radiation)が中心で、ほとんどは皮膚の刺激であり、深部は皮膚表面の吸収によりますが、皮膚から2㎜から5㎜ぐらいの深度と個人的には推測しています。

部位によって異なり、個人差もありますが、

表皮(Epidermis:エピダーミス)は、0.2mmくらいの厚さです。

真皮(Dermis:ダーミス)は、1~2mmくらいの厚さです。

皮下組織(Subcutaneous tissue)は、3mmくらいからです。

灸の熱の伝達の深度は、普通は2mmから5mmぐらいと推測しています。条件が良ければ10mm行く可能性もありますが、5mmくらいと見積もったほうが臨床的と感じます。

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