【科学の最前線:『ネーチャー』の「慢性腰痛」の遺伝性の論文】
2025年2月11日『ネーチャー・コミュニケーション』
「ゲノムワイド関連の多祖先メタ分析により、慢性腰痛に関連する67の新しい遺伝子座が発見されました」
「ゲノムワイド関連分析」とは、2002年に日本の理化学研究所が最初に心筋梗塞の分析で発表した、日本オリジナルの研究手法で世界に拡大しています。
2024年6月に『ネーチャー』に発表された「むずむず脚症候群の論文は衝撃を受けました。いままで家族性だが原因不明とされていた「むずむず脚症候群(RLS)」の原因遺伝子と病理が、かなり解明されていたからです。
2024年12月の科学雑誌『セル』に掲載された「うつ病」のゲノムワイド関連分析も308の遺伝子を特定しており、うつ病単一遺伝子原因説を否定しつつ、扁桃と海馬の関連を明らかにしており、画期的でした。
2025年2月11日の『ネーチャー』は鍼灸師の仕事に直接、関わる「慢性腰痛(CBP:Chronic Back Pain)」のゲノム・ワイド関連分析(GWAS)です。
確かに、「生まれつき腰痛になりやすいヒト」は存在する印象です。
2014年のオーストラリアの双子研究で、105組の双子を調べ、慢性腰痛の有病率は、遺伝率32%で遺伝的に有意であることが示されました。一卵性双生児のほうが、二卵性双生児よりも、2人のうち1人が腰痛になると慢性腰痛となる可能性が5倍も高いことが判明しました。
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2014年4月15日
「慢性腰痛の遺伝性と生活習慣要因: オーストラリア双生児腰痛研究 (AUTBACK 研究) の結果」
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2018年
「ヨーロッパ系158,000人を対象としたゲノムワイドメタアナリシスにより、慢性腰痛に関連する3つの遺伝子座が特定された」
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「軟骨と骨の発達に関与し、人間の身長にも影響を与える SOX5 遺伝子(SOX5 gene)」、
「坐骨神経痛や椎間板と関連するGSDMC遺伝子」
「椎間板に成長する神経に関係するDCC遺伝子」
の3つの遺伝子が特定されました。
2022年の研究は、ブレークスル―です。
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2022年8月
「脳特有の遺伝子は慢性腰痛には寄与するが、急性腰痛には寄与しない」
※「慢性腰痛の遺伝性の多くは、主に『脳=中枢神経系(CNS)』で発現する遺伝子に起因していると考えられます。」
そして、2025年2月の『ネーチャー』論文になります。
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以下、2025年2月『ネーチャー』論文より引用。
「コンピューターシミュレーションでの機能特性評価により、脳および下垂体組織の関与が明らかになりました。」
以上、引用終わり
つまり、学問的な流れを分析すると、
「1.急性腰痛に遺伝性は少なく、慢性腰痛は遺伝性が高い」、
「2.慢性腰痛の遺伝性は、脳および下垂体の遺伝子と関連している」、
ことが、2025年2月の『ネーチャー』論文で明らかになりました。
これは、まさに「中枢感作」と慢性腰痛の関連を思い出させます。
鍼灸治療では脳と下垂体に、かなり変化を起こすというメカニズムがある研究も
多数あり、慢性腰痛には鍼灸が効果的な裏付けが確立されてきています。


