株式会社 千乃

【科学の最前線:横隔膜の内臓体性反射「関連痛」は首と肩の症状となる】

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【科学の最前線:横隔膜の内臓体性反射「関連痛」は首と肩の症状となる】

【科学の最前線:横隔膜の内臓体性反射「関連痛」は首と肩の症状となる】

2024年6月 スペイン・セビリア大学

「横隔神経が支配する横隔膜下の臓器:システマティックレビュー」

以下、引用。

「横隔神経は横隔膜下臓器と接続し、神経を支配します。」

「このレビューは、首や肩の痛み、しゃっくり、横隔膜周囲疾患のある人をケアする専門家に役立ちます。」

以上、引用終わり。

 

むかし、鍼灸学校で臨床歴30年以上のベテランの先生が、「鍼灸師は肩こりの治療にはじまり、肩こりの治療に終わる。実は肩こりの治療が一番、難しいと感じている。内臓からの関連痛の首肩こりは全部むつかしい。左肩こりは心臓の肩こりや胃の肩こりがある。右肩こりは肝臓・胆嚢の肩こりがある。内臓の状態が改善しないと、肩こりは緩和しない。肩こりの鍼灸が簡単というのは、初心者の証拠で肩こりが一番むつかしいわ」と言っていたのを思い出しました。

 

江戸時代の肩こりの認識を調べた際に、中国伝統医学の内臓の症状である「痃癖(げんぺき)」が、肩こりをとる表現である「按摩痃癖(あんまげんぺき)」と按摩の対象となり、内臓由来の肩こり「肩癖(けんぺき)」から関西弁の「けんびき」になったということでした。

 

日本漢方の細野史郎先生は、胸脇苦満と肩こりの関係を徹底的に分析し、胸脇苦満をともなう横隔膜周辺の臓器による肩こりを横隔膜症候群と呼ばれています。細野八郎先生は、肩こりを横隔膜の内臓体性反射と分析し、その際にトラベルのトリガーポイントの概念を論じられていました。

 

1965年「胸脇苦満を語る (III)」

細野 史郎『日本東洋醫學會誌』Vol. 16 (1965) No. 4 P 163-187

 

1966年「内臓疾患に伴う横隔膜反射“その東洋医学的意義”」

細野 八郎, et al.『日本鍼灸治療学会誌』Vol. 15 (1966) No. 1 P 379-383

 

以下、2024年セビリア大学の論文より引用。

「腹部のいくつかの組織の刺激が、首、肩、腕のC3-C4-C5皮膚分節に沿った関連痛を引き起こすことは一般的に知られています 」

「たとえば、Netter の解剖学の教科書には、肝臓、胆嚢、十二指腸の損傷が「横隔膜の刺激」により肩上部に痛みを引き起こす可能性があると書かれています」

 

【4.2.2 肝臓と胆嚢】

「肝臓の生検部位の電気凝固中に、患者の約 20% が右肩部に痛みを訴えます」

「胆嚢摘出手術は、慢性の首の痛みの問題を解決します」

 

【4.2.3 .食道と胃】

「したがって、胃穿孔や出血性潰瘍に続く首や肩の痛みは、胃の横隔膜供給だけでなく、腹膜刺激にも関連している可能性があります」

「食道裂孔ヘルニアと胃食道逆流症は、首、左肩、腕、顎の痛みを引き起こします」

「胃の膨張によって食後肩痛が起こることも報告されている」

 

「最後に、胃捻転は首と左腕に痛みを引き起こすことも示されています」

 

【4.2.6 膵臓】

「糖尿病やメタボリックシンドロームは、首や肩の痛みと頻繁に関連付けられています 」

「さらに、長期にわたる内臓疾患が中枢感作を引き起こし、筋骨格系の痛みを増大させ、筋膜トリガーポイントを生成する能力により、代謝疾患患者の膵臓、胃、および/または食道の苦痛が首や肩の痛みと関連している可能性があります」

以上、引用終わり。

 

 

2024年6月「石灰沈着性腱板腱炎と腎結石症および/または胆石症との関連:症例対照研究」

 

これは、胆石はカルシウム(とビリルビン)ですし、腎結石もカルシウムで、石灰沈着性腱板炎もカルシウム沈着というロジックですが、内臓体性反射も関係していそうです。かなり離れた内臓症状でも、肩に影響が出るというのが驚きです。

 

 「ケール徴候(Kehr's sign)」の名前の由来になった医師のハンス・ケール(Hans Kehr:1862-1916)先生は胆石症を専門に研究した医師で、胆嚢の症状で右肩の痛みが出ることはたくさん書いていて、たった1回だけ脾臓由来の左肩痛を記述して、「ケール徴候(Kehr's sign)」で医学史に名前が残ったようです。

 横隔神経はC3・C4・C5の神経支配であり、内臓性肩こりとの関連で、重要な印象があります。

 

これらの研究によって明らかにされていている内容です。

鍼灸で言う“ツボ“は色々な解釈がありますが、いわトリガーポイント(痛みの誘発部位)と考えると、内臓やその他の部位が原因で起こる方の痛みや背中の痛みは、例えば、しゃっくりは横隔膜の痙攣ということは承知だと思いますが、横隔膜が内臓疾患で刺激されると、その神経支配は首でありことからその神経刺激で肩や背中に反射的に痛みや違和感を持つことに結びつき、メカニズムの解明ができます。

 

逆に考えると、反応点である“ツボ“に鍼灸を施すとその刺激が首の神経や脳を刺激して原因となる病因に対する治療となります。

 

 多くの方々の研究の積み重ねがしっかりとしたエビデンスの確立に繋がり、それを自分たち鍼灸師が病で困っている方々に提供しているので先人の努力には敬意を示したと思います。

 

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