肩凝り体操
<首こりのメカニズム>
首周辺の筋肉が緊張する ⇒ 老廃物が溜まり血行不良に ⇒ だるい・痛い・体が重く感じる
<肩こりとは・・・>
・肩の筋肉が炎症を起こすことで肩こりになる場合と首の骨が神経を圧迫して肩こりになる場合があり、だるさや痛み、または体が重く感じる。この2つの症状は大変似ています。
・肩こりは首の神経から起こるものが多いです。
※首には大事な神経や、脊髄が通っているので変形した骨が触ると激痛や手足のしびれがでることがあります。
<肩こりのⅢタイプ>
タイプⅠ(僧帽筋緊張型)
パソコン、携帯電話、ゲーム等で首を前に曲げた状態が長く続いていることにより、僧帽筋に緊張が起こるタイプです。
頭を下げている時にも、脳から僧帽筋を収縮させる指令が出て、絶えずこの筋肉が緊張している状態が続きます。それが慢性の肩こりです。
この僧帽筋は大きい筋肉なので大量の酸素を必要とし、その酸素を補うためには睡眠も必要です。睡眠時間は5~6時間が適当な目安です。8時間を超えると自重での圧迫による痛みや筋力低下を招いて腰痛の原因にもなります。
図のように頭を前に倒している姿勢ですと赤い部分(僧帽筋)の負担が絶えずかかっています。
そしてこの姿勢を変えても脳からの指令がこの僧帽筋の緊張を引き起こしている状態が続いてします。それが続きますと
筋肉だけではなく椎間板等の軟部組織の障害、そして頚椎症となり難治性へと移行していきます。
僧帽筋は深部に存在する筋肉なので表面の血流を良くしても中々痛みは取れていきません。
正しい姿勢を確保して、鍼灸治療や自宅で行える毎日のストレッチで筋肉の緊張を緩和、そして深部筋の血液循環の改善を行えば、首肩の凝りは改善されます。
検査法:
身体の前で両方の手のひらと肘の内側を合わせ、その状態で手を上げる動作をします。
その動作で肘が顎まで上がらない場合はこのタイプが多いです。
有効なストレッチ法:
ストレッチA:椅子に座り、首を前から後ろに曲げながら(大きく頷き運動)両腕をまっすぐして後ろに伸ばし、そして両腕を近づける動作を行う。朝昼晩の10回×3セット行います。
ストレッチB:両腕をあげて、身体で大きな樽をだくようにして、両指先を付けます。
そして、腰からゆっくりと左右に回し、肩甲骨の内側を伸ばすように身体を回します。
5回×3セット行います
タイプⅡ(腰のバランス型)
まずなぜ腰なのか?これらは人間が二脚歩行であることが関係しています。
一般的には頭の重さは平均5~6kgと言われており、ボーリングの玉と同じぐらいです。
自分の体の中ではこの重みを感じにくいように働いているのです。
その重い頭をてっぺんにして細い背骨で骨盤からつながって支えられています。
いわば皿回しのようなものです。
回している竿が手元でしっかりと力が入って支えていると皿は安定して回り続けます。
しかし、腰の部分にあたる手元がゆるくなると、てっぺんの皿はゆらゆらして落っこちそうになります。
これを防ごうとして首がかたくなってストレートネックとなるのです。
ストレートネックになると首の動きが蝶つがいのようになり、頭を下げる姿勢、例えば携帯電話やパソコンを長時間やっていると、首の下の負担がかかり肩へかけての痛みが出てきます。
このストレートネックの原因としては、実は腰が重要なのです。
いわゆる腰周りをしっかりさせることが重い頭を支える重要なポイントなのです。
腰周りとはまさに「腹筋」のことです。
一方、背筋は座っていても常に筋肉が収縮していて、太った人でも背中には脂肪がつきにくいものです。
加齢とともに腹筋は弱くなり、背筋にかかる力だけでは背骨を支えきれなくなります。
背骨は横からみると頭から骨盤までS字状になっていて、しっかりと安定した状態であると、この湾曲が自然とできるようになります。
ところが腹筋が弱くなって腹圧が下がり、背骨を支える筋肉が背筋だけとなりますと腰が不安定になってきます。
お腹はひとつの容器でもありますので、腹筋できゅっとしめることにより中にある背骨が引き締まり、腰が安定するのです。
しかし腹筋が弱いと腰に負担がかかり、背骨だけで重い頭を支えようとしてしまうので、まっすぐになってストレートネックになります。
首だけではなく腰の彎曲もなくなっていき、身体が硬くなるのです。
検査法: 片足立ち左右10秒
運動法:(腹筋強化運動)上を向いて横になり膝を約90度曲げます。
両手を軽く膝の上にのせて、おへそを覗き込む姿勢で10秒数えてください。
これを5セット寝る前に行います。
腹筋は姿勢を維持する筋肉なので何度も繰り返すより、ゆっくりととめて呼吸をしながらプルプル震える腹筋を鍛えることが大切です。
注:腹筋を意識して、できるだけ身体を曲げ、頭をおへそに近づけるようにして下さい。
タイプⅢ(四十肩タイプ)
いわゆる四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)で、痛みと拘縮のため首肩、肩甲骨周りの筋肉が緊張し、血流が低下して凝りを感じるもの。
検査法:
小さく「前ならえ」をして手を開く運動を行う。その時、肩の痛みと開きが悪い方は肩関節周囲炎の可能性がありあります。
運動法:
アイロン体操(重りを持たなくても結構です。)
1.太ももの付け根ほどの高さのテーブル等に、痛まない程度の角度で少し前かがみになります。
2.「痛くない方の手」を、テーブルについて支えにします。
3.「痛む側の手」で、おもり(1kgくらい)を持ち、肩の力を抜いて行います。
4.「前後」 「左右」 「円を描く」運動を、それぞれ10往復を1回とし、最初は無理をせず1日1回。
なれてきたら、徐々に回数を増やし、また、傾斜(前かがみ)も深くして行きましょう。
鍼灸治療:首肩の凝りは、深い部分での筋肉の緊張や血液循環の低下し、疲労物質がたまって凝りを感じます。
揉んだり、叩いたりするだけでは表面の筋肉は緩みますが、なかなか深い筋肉は緩みません。
当院では定期的な鍼灸治療で深い部分の筋肉を刺激して、筋肉の緊張と血液循環の改善をしています。
それと同時に家庭でのストレッチをまめにおこなって頂ければ首肩の凝りは楽になります。
<鍼灸治療とストレッチによるサーモグラフィーの変化>
≪肩こりを放っておくと・・・≫
・骨の首の間のクッションとなる椎間板が痛んだり潰れたりすると、骨が変形して「頸椎症」を起こす可能性があります。
肩こりは万病のもと言われています。早目の治療をお勧めします。
東京女子医科大学東医療センター
整形外科准教授 神戸克明資料より