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市民公開講座 体表医学の到来と鍼灸医療 ‐最近の皮膚科学の知見から鍼灸を見つめ直す‐

市民公開講座 体表医学の到来と鍼灸医療 ‐最近の皮膚科学の知見から鍼灸を見つめ直す‐

明治国際医療大学鍼灸学部 健康・予防鍼灸学教室 教授 矢野 忠 2015.1.11

 

【要 旨】  体表は皮膚で覆われています。それを広げると成人で約1.6 平方メートルにも達し、その重量はおよそ約3Kg にもなります。このように皮膚はとても大きな臓器です。しかも外に飛び出た臓器で、皮膚は外臓( 内臓に対して) とも呼ばれる所以です。  今、皮膚にはとてつもない機能が有るということが分かってきました。皮膚は、これまで「革」として捉えられ てきましたが、その機能は身体を保護する革袋としての役割をはるかに超えて、生体の防御器官として、また生体 内外の情報を交流するインターフェースとして機能しています。それらの機能はまるで脳のように情報をキャッチ し、情報を処理し、情報を発信しています。これらのことから、皮膚はまさに外界に露出した薄い脳であり、“皮 膚は考える”( 傳田光洋著『皮膚は考える』、岩波科学ライブラリー) とまで言われています。  一方、体表を診察と治療の場としてきた医療が、鍼灸です。鍼灸では、皮膚は広汎な外受容器としての身体外部 からの刺激に反応する一つの場であるとともに、身体内部の歪みを写し出す高感度のブラウン管的役割を果たして いると捉えてきました。そうした鍼灸の視点と診療の意義及びその科学的根拠が、今、皮膚科学の知見から解明さ れようとしています。また、日時診療において皮膚へのタッチングを介して診察と共に非言語的なコミュニケーショ ンがかわされますが、皮膚のこうした多様な機能を診察・治療に利用してきたのが鍼灸医療です。 本研修会では、最近の皮膚科学の知見を紹介しつつ、鍼灸を見つめ直し、鍼灸の特質について皆さんと一緒に考え てみたいと思います。

 

体表医学の到来と鍼灸医療 ‐最近の皮膚科学の知見から鍼灸を見つめ直す‐

 

明治国際医療大学鍼灸学部 健康・予防鍼灸学教室 教授 矢野 忠 【略 歴】 矢野 忠( やの ただし) 富山県 昭和20 年9 月生まれ  1970 年  東京教育大学教育学部附属理療科教員養成施設卒業  1972 年  東京教育大学(現筑波大学)附属盲学校文部教官教諭  1983 年  明治鍼灸大学鍼灸学部鍼灸学科 東洋医学教室講師  1985 年  同校 助教授  1985 年  同校 教 授  1985 年  明治鍼灸大学大学院 教授  現 在  明治国際医療大学鍼灸学部鍼灸学科 健康・予防鍼灸学教室 教授  同校大学院 教授  医学博士  大学院研究科長   (平成20 年4月から校名変更 明治鍼灸大学から明治国際医療大学となる.)

 

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