反復生殖補助医療不成功女性の問題
臨床婦人科産科 2011 vol.65 no.6より抜粋
「生殖補助医療(体外受精など)の臨床で、不成功を繰り返す例は希ではない。その原因として(1)胚(受精卵)の不良(2)子宮の着床・妊娠維持機能の不良が考えられる。実際には両原因がさまざまな比率で混在するであろうが、(1)のほうがより高頻度と考えられる.
卵胞発育不良に対する対処法を要約すると、まず患者を健康で幸福な状態にし、そのうえで患者各個に応じた適切な卵巣刺激法を選択施行することである。実に多くの患者も医者も、健康で幸せなカップルが、セックスをいっぱいして子供ができる。という自然の摂理を無視している。不健康なブロイラーの卵は臭いが、健康な滋養鳥の卵はおいしいのである。よい卵子・精子をつくるには、ます患者を健康で幸せにしなければならない。科学的にいうと、加齢、ストレス、不安、運動不足、睡眠不足、肥満、飲酒、喫煙は、インスリンの感受性を低下する。このことが遺伝的素因と合わさって、インスリン抵抗性症候群(メタポリック症候群)が引き起こされる。インスリン抵抗性症候群は、糖尿病、高血圧、脂肪肝、高脂血症、痛風、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中、癌などを包含する。男性不妊の多くもインスリン抵抗性症候群であるつまり不妊の大多数を占める配偶子形成障害は、ほとんどが生活習慣病なのである。そこで、(1)歩行、(2)体重の適正化、(3)良い睡眠、(4)悩まぬこと(楽しく過ごすこと)、(5)減酒、(6)禁煙、(7)まともな食事を規則的にとること、以上7項目をしっかり実行していく。これらの生活習慣の是正により心身ともに健やかとなり、良い卵と精子へとつながるのである。
以上のことが、最近の新しい研究から論じられています。
鍼灸治療では、心身共に健康な良い状態を作る治療を行います。
子宮の環境作を良くする、子宮の血流増加、卵巣の機能を高める、卵が着床しやすい子宮の内膜の状態を良くする、卵の成長を良くするなどに効果的に鍼灸治療が働くようにします。しかし、からだを良い状態にするには、かなりの時間が必要となります。個人差はありますが、不妊治療を続けて良いからだをつくるには6ヶ月~1年ぐらい必要です。
また、当院では治療効果を得るためには鍼灸治療の回数も必要だと考えております。