足関節捻挫の治療
ディカルうちだ院長 内田輝和
2011年9月7日号 No.247 抗重力療法13
スポーツ障害では足関節の内反捻挫が起こりやすい
スポーツ障害による捻挫で一番多いのが足関節捻挫である。腓骨と脛骨は強靭な脛腓靭帯結節で連結しており、日常生活動作だけでは捻挫は起こりにくいが、バレーボールなどの跳躍や走りからの転倒などによって足関節が過度に内反する動きが伴った場合、内反捻挫が起こりやすくなる。関節は適度な遊びがあるため、無理に生じた外力で関節包や靭帯の軟部組織が損傷するのである。ここでは外反捻挫については省略し、スポーツ障害でよく見られる足関節の内反捻挫の治療に絞って述べる。
足関節捻挫のチェック
(1)術者の母指、示指を使って左右の足関節の周囲差を把握する。把握することによって関節の開離具合を見ていく。左右の足関節を比較することで過去に捻挫をしたことがあるかの状態がみえてくる。腓骨・脛骨がきちっと正しい位置で絞まっていないと足関節の絞まり具合が良くないといえる。
(2)足首を内反させて外踝周辺の窪みの左右差を比べてみる。。捻挫が起こっている場合は凹みの段差がなく、足首を回してみると可動性が少ないのがわかる。
(3)腹臥位になってベッドと足関節の指床間距離及び弾力性を見る。弾力性を見る。見る方法は踵を把握し、床に向かって軽く押圧してみる。弾力性がない状態は抵抗感がある。抵抗感がなくなるほど回復の過程の目安とする。 ④背臥位で自然に足を伸ばした状態を観察すると弱い状態の足の方が外側に傾きやすい。これは膝や腰にも負担がかかっていることを現している。
足関節捻挫の治療
(1)捻挫を起こすと脛骨・腓骨の位置が微妙にずれるため、腓骨筋にストレスがかかる。この筋の過緊張を緩めることが必要となる。脛骨・腓骨の位置を正すため腓骨筋を起始部から懸鐘穴に向けてほぐしていく(図5)。
(2)次に足関節を正しい状態へと調整していく。懸鐘穴と足首を片手ずつそれぞれ把握した状態で持って懸鐘穴を外側にひねり、足関節を内側にひねっていく。同時に逆ひねりをした状態で10秒間固定する(図6)。
(3)次にそれぞれの親指を太衝穴と足臨泣穴にあてがい、把握し足首を立てるようにしながらツボを足関節の方向へ押圧していく(図7)。その時に両母指を少しずつ前方へ動かしていく。
(4)片手で踵を支えて手前に引きよせながらアキレス腱を伸ばす、もう片方の手で足の甲を握って足関節を立てるように足の甲を膝蓋骨方向に向け10秒間固定する(図8)。
(5)次いで腹臥位を取らせ、伸縮の動きが充分でないアキレス腱に弾力をつけていく目的でアキレス腱の両側から両母指で少し圧をかけながら痛くない程度にアキレス腱を下方に引きよせることで弾力をつけていく(図9)。
(6)次に腫れていた外顆部の腫れを吸収さす目的で、背臥位になり懸鐘穴と窪みの外顆部分を持って懸鐘穴を外側にひねり、同時に窪みの部分を内側にひねり10秒固定する(図10)。これを2~3回繰り返す。
(7)以上全ての動作を3回繰り返し施術を終了する。