株式会社 千乃
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がん患者に対する鍼灸治療

がん患者に対する鍼灸治療

社団法人全日本鍼灸学会副会長 杏林堂 院長 小川卓良

鍼灸治療の有効性
1)免疫力の向上
鍼灸治療では、“心身の変調を整えて自然治癒力、免疫力を高めて病魔に対応する”という方法をとります。特に、自律神経の変調を整える作用があるとともに、免疫力を向上させる働きがあることがわかっています。下図1はイムノドックという免疫力を調べる検査の結果です。この患者は、手術でがんを取りきれずに抗がん剤を毎週投与していましたが、毎日家族に灸をすえてもらっているからか、副作用も少なく元気に生活しています(症例1)。イムノドックの結果をみると、免疫力を高めるために必要なインターロイキンやインターフェロン等が豊富にあり、がんとの闘いで主役を務めるNK細胞も非常に多いことがわかります。そして同時に非常に大事なT1リンパ球数とT2リンパ球数もあり、見事なバランスがとれています。

 

2)QOL(生活の質)の改善
鍼灸治療を行うと、血行が改善するなど全身的に作用するので、食欲がでたり、睡眠状態や便通も良くなったり、足腰肩のこりや痛み等が改善したりというようにQOLが高まると言われています。QOLが向上すれば、免疫力向上にも繋がりますし、苦痛も減らすことができます。

 

3)副作用の軽減
病院などで鍼灸治療を行う場合にはまず西洋医学の治療が優先されますが、西洋医学の及ばない範囲の病態や抗がん剤による副作用の軽減などに対して、鍼灸治療による効果が求められています。次ページ図2は埼玉医科大学での研究成果です。抗がん剤や放射線治療でしばしば起きる浮腫(むくみ)の副作用を鍼治療で軽減できることを示したデータです。西洋医学の治療による副作用が軽減できれば、QOLも向上し元気にもなり、抗がん剤や放射線による免疫力の低下に対しても症例1のように極力影響を抑える可能性も高くなります。
鍼灸治療で、転移がんが完全に消失した症例や術後の再発防止例 次に、複数転移したがんが、鍼灸治療で完全に消失し、以後10年以上経っても健康を保っている患者(女性、51歳)の例をご紹介します(症例2)。この患者は乳がん摘出手術後、肺に複数のがんが転移し、放射線と抗がん剤治療を始めましたが、食欲不振、嘔気・嘔吐、体重減少等様々な副作用で体調が悪化。抗がん剤と放射線を中止して当院で鍼灸治療を行いました。すると体調が回復し、約半年後にMRI上で転移がんが完全に消失したことを確認しました。素問八王子クリニックの真柄俊一医師は、手術後に再発の確率が60~70%あるいはそれ以上高いがんに対して、鍼治療(食事や生活改善のアドバイス含む)を行うと、再発率は10%位に下がり、再発率20%程度のがんに対しても4%程度の再発率しかなかったと報告しており、鍼灸治療にはがん再発防止効果があることを示唆しています。

 

緩和ケアとしての鍼灸治療 がんに対する鍼灸治療といえば、これまではターミナルケア(終末期医療)として行われていました。しかし私は治療現場で、「鍼灸治療を始めてから、宣告された余命より長く生きた」「ほとんど動けなかったが鍼灸院まで歩いてくることができた」「痛みなどの症状の緩和やQOLを向上することができた」とい患者を多く診てきました。このような経験から、私は緩和ケアに有効ならば治療や予防にも有効であろうと考え、がんに対する鍼灸治療の研究を始めたのです。緩和ケアに鍼灸を取り入れている医療機関は、前述の埼玉医科大学や国立がん研究センターなど増えてきましたし、世界では欧米を中心に、既に緩和ケアに鍼灸を取り入れています。家族ががん患者になると、他の家族また自律神経の変調等が起きますので、家族のケアも必要になり、そんな時、鍼灸治療が役立ちます。このように、まだ十分なエビデンスがあるとは言えませんが、がんに対して鍼灸治療がある程度有効であるということは言えるでしょう。

 

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