本の紹介
うつ病の針灸治療著者:西田皓一
わが国の自殺者は数年前から年間3万人を超え続けている。これは交通事故による死亡者の4倍以上の数である。自殺者の30~60%がうつ病に被患しているとの報告もあり、今やうつ病対策は国家的問題になっている。またわが国におけるうつ病の生涯有病率は14パーセント以上との報告もある。人は一時的にうつ状態に陥ることもあるので、うつ状態になる率はもっと高いと推定される。
東洋医学と現代医学とを併用して長年診療に従事してきた著者は日常の臨床でも、うつ病の多さを実感している。来院する患者の中には、現代医学の治療を受けてはいるものの、精神安定剤や抗うつ剤では満足した効果が得られず、東洋医学の治療を求めて訪れる例が多くなってきたという。また、著者は開業する傍ら、約20年前からある会社の産業医をしているが、昔は工場での事故などによる傷害の治療が産業医の主な役目であったのに、最近は精神的な悩みや精神神経症状、特にうつ病の症状を訴える従業員が多くなってきたという。
うつ病に対しては、現代医学では主に抗うつ剤が処方されるが、その効力は緩慢であまり著明な効果が得られない場合が多い。しかも、抗うつ剤にはふらつきや頭がぼける、積極性がなくなる、無気力になるなどの副作用も結構多い。
しかし、うつ病をはじめ精神神経症状で永年の間、抗うつ剤や精神安定剤を内服しているにもかかわらず、精神的異常が改善しない患者に対し、針灸治療で安心させるツボに刺針すると、今まであった精神神経症状が急速に改善されていく。著者はそういう症例をこれまでに数多く見てきた。「うつ病」に限らず、すべての精神的異常に対しても同様の針灸治療で効果がある。
このような臨床経験から、著者は精神神経疾患には針灸治療がより効果的な治療手段であると確信し、その経験をもとに「うつ病の針灸治療」を書き残したいと決意し、まとめたのが本書である。本書は、「うつ病の現状」「うつ病の起こり方」「精神的不安に対する針灸治療の効果メカニズム」「針灸治療でないと得られない安心効果」「精神的異常に対する針灸治療」などについて詳しく解説し、初学者でも理解しやすいようにまとめられている。
「うつ病には抗うつ剤」では決してない。現代医学一辺倒の発想を転換すると新しい発見がある。針灸治療の効果は、時に現代医学の常識を超えるときがある。
國安鍼灸整骨院でも、鬱病の来院が多く、鍼灸治療でかなりの効果を上げています。薬だけではなく、エコロジーな鍼灸治療を受けてみてはいかがですか?