『精神看護2025年5月号 鍼灸は、なぜ「うつ」に効くのだろうか――心身不調改善のツボはここだ!』
2025/05/02
医学書院 (2025/4/30)
個人的には、中村元昭(なかむら・もとあき)先生の「精神科臨床で遭遇する身体愁訴と鍼灸の可能性」が最も感銘を受けました。
中村元昭先生は1996年日本医科大学を卒業され、2004年に精神行動医科学分野で医学博士を取得されます。
ハーバード大学に留学されている際に、鍼治療を受けて、感銘を受けて、帰国後に神奈川県立精神医療センター「ストレスケア病棟」で鍼灸を取り入れられました。
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2008年
「鍼による血行改善に期待 神奈川県立精神医療センター芹香病院ストレスケア病棟に鍼灸研究室がオープン(神奈川県立精神医療センター 岩成秀夫所長・神奈川県立精神医療センターストレスケア病棟 中村元昭医長)」
『医道の日本』 67(5): 135-139, 2008.
論文で「身体表現性障害」と「医学的に説明困難な身体症状(MUS)」について論じられていたのが感動しました。
わたしもコロナ禍で、研修生の方に「鍼灸と身体表現性障害・身体症状症」について、説明する際に、調べたのですが、本当に参考文献がありません。自分の臨床経験以外に、説明の根拠がないのです。しかし、研修生の方にもお伝えしたのですが、鍼灸師にとって、「身体表現性障害」「身体症状症」「身体苦痛症」の患者さんへの対応は、超・重要なのです。
フロイトの時代の「ヒステリー(Hysterie)」の一部が、1980年の『精神疾患の診断・統計マニュアルDSM3』で「身体表現性障害(Somatoform Disorders)」となりました。
2013年の『精神疾患の診断・統計マニュアルDSM5』で、「身体症状症及び関連症群」と名称が変わりました。
「身体症状症(しんたいしょうじょうしょう:SSD)」です。
2019年のWHOの『国際疾病分類ICD-11』では、「身体苦痛症」と呼ばれるようになりました。
個人的には「身体苦痛症」が患者さんにとっても、もっとも良い表現である印象です。
研修生の方にお伝えする際も、「身体症状症は『詐病(malingering)』ではないし、『虚偽性障害』でもないし、『疾病利得』でもないです。 患者さんは本当に苦しんでいます。患者さんの苦しみを少しでも減らせるのが鍼灸です」とお伝えしていましたが、本当に表現が難しかったです。その、わたしが本当に表現に苦しんでいた部分を丁寧に言語化されて、196-197ページで解説され、そこが永久保存版です。
「医学的に説明困難な身体症状(MUS)」、「身体症状症」、「身体苦痛症」に、鍼灸・漢方などの東洋医学の活躍する可能性があるのではないかというのが中村元昭先生のご意見であり、これはまったく同感で、本当に読ませていただいて良かったです。
2012年
「K式鍼灸スコア(KSAS)の信頼性検定と相関分析-うつ病など精神疾患に対する鍼灸治療の試み-」
中村元昭
『臨床精神医学』 41(3): 323-332, 2012
2012年
「精神科医療における鍼灸の可能性」
中村元昭et al.
『医道の日本』 71(9): 127-135, 2012
2015年
「神奈川県立精神医療センター・中村元昭氏に聞いた ボトムアップ・ニューロモデュレーションと鍼灸による精神疾患の研究」
『医道の日本』 74(9): 27-31, 2015.
2015年
「鍼灸によるうつ病治療 : ボトムアップ・ニューロモデュレーション」
中村元昭
『精神科治療学』 30(5), 619-623, 2015-05
世界中でうつ病で悩み、命を落としていく方が多い中、少しでも鍼灸でそのような方を救ってあげることが出来れば鍼灸師冥利に尽きると考えます。


