鍼治療をPTSD治療に活用 - アメリカ
2024/03/26
「古代の鍼治療技術がウェストLA退役軍人病院でどのように波紋を起こしているのか」という記事がアメリカの退役軍人のサイト「va.gov」に掲載されています。(va.gov 2024.3.22)
退役軍人は、戦争や軍隊での勤務を終えた人々のことで、その激しい勤務経験から身体的な問題や精神的な影響を持つ場合が多くあります。
特にPTSDという心的外傷後ストレス障害については、退役軍人にとって特徴的な心の傷といわれています。
この記事では、ロサンゼルスにある退役軍人医療センターでPTSD治療を受ける退役軍人の話が取り上げられています。
当初は歩行器を使用するほどの身体的な問題があったようですが、鍼治療をしていくうちに改善への変化がみられたそうです。
また、精神的にも楽になることができたとのことです。
鍼治療の効果はまだまだ研究途中ですが、鍼治療によって体内に痛みを和らげる物質が産生されたり、神経の高揚を抑えたりするという効果も期待されているようです。
そのことが書かれている部分の英訳文を下記に引用いたします。
・小さな針はどのように体の治癒に役立つのか、鍼治療がどのように、なぜ効果があるのかは研究中
・しかし鍼治療が体から天然のエンドルフィンとアヘン剤を放出させることを示す証拠があるとクリーガー氏は説明した
・損傷部位への血流を改善し、痛みやトラウマに関係する脳中枢を落ち着かせ、神経可塑性を促進し、脳が新しくより健康的な経路を作り出すのを助ける
鍼治療がPTSD(Post-Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)治療に活用されることは、アメリカを含む世界中で研究されています。鍼治療は、伝統的な中国医学の一部であり、最近では西洋医学の一部としても認識されています。PTSDは、トラウマ体験によって引き起こされる精神的な健康状態であり、治療の方法はさまざまです。
アメリカでは、鍼治療が統合医療の一部として広く利用されています。統合医療は、西洋医学と補完的な医療アプローチを組み合わせたアプローチです。これには、鍼治療、マッサージ療法、ヨガ、心理療法などが含まれます。PTSDの治療において、薬物療法や心理療法と組み合わせて鍼治療を利用することが行われています。
研究によると、鍼治療がPTSD症状の軽減に効果的である可能性が示唆されています。鍼治療は、ストレスホルモンのバランスを整え、神経系の活性を調整し、リラックス効果をもたらすと考えられています。これにより、PTSDの症状である不安、睡眠障害、集中力の低下などを改善するのに役立つとされています。