鍼治療はどのように作用するか - アメリカ
2023/10/17
「鍼治療はどのように作用するのでしょうか?なぜこれほど多くの人が鍼治療を信頼するのでしょうか?」という記事がアメリカのニュースサイトChicago Sun-Timesに掲載されていました。(Chicago Sun-Times 2023.8.11)
鍼灸は紀元前の古代中国に始まったといわれています。身体の経穴(ツボ)に針を刺したり、艾(もぐさ)を用いた灸を置いて燃焼させたり疾患や症状に適した刺激を加えることで人の自然治癒力を高め病気を治したり健康増進を図る治療法です。
前漢時代(紀元前200年前後)には既にその理論は体系化されていて、生理学・一般病理学について書かれた『素問』と、鍼灸理論の『霊枢』をまとめた『黄帝内経』が編纂されています。
その東洋医学・中医学の原点の『黄帝内経』は、そこから漢方や鍼灸、気功などの分野に分かれて現在も活用されている医学書物です。
そこには人が健康で生活するために、病気の問題だけではなくその人の生活習慣や感情、食事内容、住んでいる土地や気候などを、総合的に診た治療法が書かれています。
そしてこれらの書物は2011年にユネスコの世界記録遺産にも登録されています。
鍼灸が日本に渡来したのは飛鳥時代(6世紀の初め)で、仏教伝来と同じころだそうです。
近代日本では明治政府が西洋の医療制度を模範とするまで、鍼灸は漢方薬と共に医学の主流でありその効果が認められて明治35年に合法化されました。
今回のこの記事では鍼治療は広く研究されていて、線維筋痛症の痛みの軽減やアレルギー症状の緩和、肩や首の緊張の緩和などの効果があるという内容です。
その作用としては「反応があるツボ」に針をすると血液・リンパ液に反応が引き起こされ、体内の化学物質の放出を促し、神経を刺激して筋骨格が弛緩するという内容が書かれています。
そして東洋医学でいう”気”のエネルギーバランスが整うことから痛みやストレスが改善するということです。
鍼灸治療は、痛みの緩和に対してよく使われますが、閉経期の女性の「ホットフラッシュ」と言われている「ほてり」にも使用するとのことです。
また、多くの症状については、鍼灸治療は以下のように述べています。一部を引用いたしますと要点は次の通りです。
・腰痛、関節痛、頭痛に関連する不快感を和らげるのにも非常に効果的である
・一般的に、倦怠感、依存症、神経障害、耳鳴りに対処するため使用している
・鍼治療は、炎症を制御し、免疫系を刺激するのに役立つ
アジアはもとより、最近では欧米、世界的に鍼灸を治療、予防として用いることが多くなっています。