なぜ鍼灸治療で筋肉をゆるむのか?
2023/05/15
なぜ硬くなった筋肉を鍼治療で改善することができるのかという素朴な疑問をお持ちになりませんか?
鍼を打たれた時に「ビックン、グワ~ン」などの鍼特有な響きがあり筋肉がほぐれる独特の感覚があります。
なぜ痛いはずの場所に鍼を刺すと筋肉がほぐれるのでしょうか?ほとんど痛みを感じなく、マッサージや指圧ストレッチとは比べ物にならないほど筋肉は根本的に緩みます。
コリについて結論から言ってしまうと人の生体には「軸索反射」という無意識に働く反射機能があるから脳への刺激が有効だからです。
その反射とは生体の組織が外部からの侵害刺激(針の刺入など)を受けると特殊な神経伝達物質が放出されます。そしてその物質には血管を拡張させる作用があり、針を刺した局所とその近くに血流が増加するというものです。
つまり筋肉への血流不足で酸素や栄養が不足して筋肉の過緊張を起こしてしまった部分の近くに針を刺すことで、局所的に血流が増すことになります。それによって疲労物質や乳酸などが排泄され筋肉は本来の状態を取り戻し、凝りが和らぐというメカニズムなのです。ちなみにコリを起こしている筋肉は痛みを発するものですが、痛みの原因物質であるブラジキニンやヒスタミンなどもこの血流によって洗い流される排出作用が促進し、痛みも治まるというわけなのです。
また、痛みのある場所への治療(局所治療)についてですが、筋肉が緊張してしまう根本的な原因はストレスを感じている脳の緊張にあります。ですので、肩や首などのコリのある場所にだけ鍼を打つだけではなく、頭部などに鍼を打つことで脳の血流をあげて緊張状態を緩和させます。その意味で鍼灸治療は即効性のある対症療法と根本治療を同時に行うことができる希有な治療方法なのです。
この一連のプロセスを見てもわかる通り、マッサージや整体では決して起こすことができません。また強いマッサージは組織を多く破壊することで「揉み返し」を起こしますが、鍼灸治療のような微細な侵害刺激ではそのようなことは起こりません。痛みもほとんど感じないどころか刺さったこともわからない場合も多いと思います。
最小限の刺激で劇的に筋緊張をほぐす、これが鍼灸治療特性なのです。