鍼灸刺激による免疫に関する最新の研究
2023/01/23
まだまだ世界的に感染が広がる新型コロナウイルスの脅威が拡大する中、感染予防のためマスクの着用や、こまめな手洗い、咳エチケット等が推奨されています。
しかし対策をいくら施したとしても、完全に感染防止ができるとは言えせん。
またこれから感染拡大の波が第9波、第10波と来る可能性も否定できません。
人類はコロナと共存していくという選択が今後求められていくと言われており、このような考えをウィズ(with)コロナと言います。
そんな感染症から身を守るために重要になってくるのが「免疫力」です。
では免疫力の向上とは一体どういう状態を指すのでしょうか?
そして東洋医学の鍼、灸は免疫力向上にどういった機序をもって働くのでしょうか?
鍼灸による免疫調節〜自然免疫と獲得免疫〜
鍼灸による自然免疫
・鍼による微細な組織損傷、灸による熱刺激の軽度な熱傷。
・病理学的に炎症とは発赤、熱感、腫脹、疼痛、機能障害の5つの徴候と定義されているが、鍼灸による刺激はマイルドなものであり、病理学的な炎症にあてはまらないことに鍼灸刺激の特殊性が存在すると示唆される。
・鍼刺激によってインターロイキン6(IL-6)の産生誘導やINFΓの産生が起こることを示した。
・灸刺激によってマクロファージや樹状細胞など自然免疫系の細胞を介しサイトカイン産生が起こることが示された。
・鍼刺激によってウイルス感染の早期に対応するNK細胞の活性が増強する結果が示されている。これがいわゆる東洋医学ならではの「未病治」という概念に繋がっている可能性が示唆される。
免疫とは大きく二つに分けることができ、鍼灸治療は自然免疫、獲得免疫、両方に効果があると言えそうです。
自然免疫とは簡単にいうと食細胞と言われる細胞によって素早く病原体を食べてしまうことです。代表的なものに好中球や、マクロファージ、NK細胞などがあります。
獲得免疫とは自然免疫では対応しきれなかった病原体が体内で増殖を始め、ウイルスや細菌、がん細胞のような病原体が現れた時に活躍する免疫のことです。
代表的なものにT細胞やB細胞といったリンパ球といったものがあります。
鍼灸はそのどちらの免疫システムにも効くとされており、自然免疫→NK細胞の活性化
獲得免疫→CGRP、そして血中のT細胞を増加させる働きという作用が現在明らかになっております。
鍼灸が免疫力向上に役立つメカニズムはこのように科学的にも証明されております。これが鍼灸師、そしてそれが必要な患者さん達に正しく理解していただくことで、今後より広がっていくことが期待できます。