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花粉症:増える、子どもの花粉症 5~9歳の14%に

花粉症:増える、子どもの花粉症 5~9歳の14%に

毎日新聞 2011年1月21日 東京朝刊

◇目鼻こするしぐさ注意、家族で防護を
スギ花粉症の患者が低年齢化している。大人と同じく子どもの患者も増えており、入学前の発症も珍しくなくなった。間もなくスギ花粉飛散の本格シーズンを迎えるが、子どもは自分で症状を訴えるとは限らず、大人が気づいて対策をとることが大切だ。【下桐実雅子】国民の2~3割がスギ花粉症と推定されている。馬場広太郎・独協医大名誉教授らによる08年の全国調査では有病率が約27%、10~50代では30%を超えた。5~9歳でも約14%で、98年の同様の調査の1.8倍に増えている。

 

そもそもスギ花粉症は何歳から発症する可能性があるのか。
かつては大人中心の病気と考えられてきたが、90年代に入って低年齢化が指摘されるようになった。国立病院機構三重病院耳鼻咽喉(いんこう)科の増田佐和子医長は「最近は2~3歳で発症している子も少なくない」と話す。
子どものスギ花粉症を数多く診ている同病院で、最年少の患者は2歳。わずか3シーズン目の花粉との接触で発症したことになる。子どもの症状は多彩だ。鼻水や鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみのほか、せきや鼻づまりによるいびき、皮膚の赤みやかゆみも多い。増田医長によると、鼻をこすることなどによる鼻血も幼児では目立ち、花粉症と診断された2歳児の例では、鼻血が続くため受診したのがきっかけだったという。

 

増田医長は「鼻すすりや口呼吸、目や鼻をこするしぐさが現れることもある。保護者が症状に気づくことが第一歩で、花粉が原因なのか診断を受けて適切な対策を取ることが大切」と指摘する。

 

診断には、鼻水を採取し、アレルギー性の炎症に関与する細胞「好酸球」を調べる方法や、スギ花粉のたんぱく質と結びつき症状を引き起こすIgE抗体の血中濃度を調べる検査などがある。一般的にはスギ花粉症の症状がある人はIgE抗体の数値が高い。症状やこれらの検査結果を総合的に判断する。

 

ただしIgE抗体が陽性でも発症するとは限らない。三重病院など近畿・東海地方の4病院が共同で04年度に行った小児380人の調査では、スギ花粉のIgE抗体が陽性だった子どものうち、実際に花粉症を発症しているのは半数に満たなかった。

 

千葉大病院小児科の下条直樹准教授(免疫アレルギー学)は「ダニによるアレルギー性鼻炎があったり、親が花粉症だと発症しやすい。鼻や目などの過敏性があることが発症と関係していると考えられている」と説明する。

 

治療や対策は基本的には大人と同じだ。抗ヒスタミン薬などの内服薬のほか、小児用の点鼻薬などで症状を緩和する。花粉エキスを注射し体を慣らしていく免疫療法(減感作療法)も、重症の場合には選択肢の一つになる。口に花粉エキスをふくむ「舌下免疫療法」は臨床研究段階だが、注射よりも負担が少なく小児の治療法としても期待される。

 

今春は昨年の猛暑の影響で、花粉の飛散量が東北から近畿にかけて例年(過去10年平均)より多いと予測されている。飛散量が多い年は新たに発症したり、重症化も懸念される。花粉に接触しない対策が基本になる。

 

だが、子どもの場合、学校や園での集団生活があり、外出を控えるのは難しい。マスクやメガネなどをつけるのも、大人のようにはいかない。

 

下条准教授は「花粉をうまく避けると子どもたちの生活にもメリットがあるということを、本人に理解してもらうことが大切。マスクをした方がよいと分かれば、自分でつけるようになるのでは」と助言する。また、増田医長は「帰宅時に、衣服や髪を払い、洗顔やうがいをするなど、室内に花粉を持ち込まないようにするには、子どもだけでなく、家族の協力が欠かせない」と話している。

 

◇「天候」や「外出・外遊び」で悪化つらい「睡眠障害」「いらいら」
増田医長らは07年春に三重病院を受診した花粉症の子ども(2~12歳)40人の保護者に、症状や対策についてアンケートした。

 

花粉症を悪化させる要因として、「天候」(晴れた日や風の強い日)と「外出・外遊び」を挙げる保護者が最も多く、「風邪」や「疲れ・寝不足」「たばこの煙」を挙げる人もいた。

 

◇子への対策、マスク着用約6割
また、生活への影響については約半数が「睡眠障害」を訴え、就学児は「勉強などに集中できない」「いらいら」「疲れやすい」も多かった。

 

実行している対策は「花粉症情報の収集」「処方薬」が約8割で、「マスク」は約6割が使用していたが、「眼鏡やゴーグル」は少なかった。「外出制限」は就学児の1割、幼児の2割だった。

 

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